2006年1月18日水曜日

それはそれは美しくも少し不気味な夕日でした。


夕方、急きょブライアン・イーノ(Brian Eno)の講演会に潜りこんだ。

ブライアン・イーノはアンビエント・ミュージックという音楽ジャンルを作り出した人。(*詳しくは、Listen Japanを参照)

「アンビエント・ミュージック」、それは、
Listen Japan によると、
「メロディやリズムを楽しむ音楽ではなく、ドラマ性を排し、木々のざわめき/虫の声/都市の騒音などに混じり"環境の一部となって機能する音楽"」。

彼の話の中にも出てきたけど、人って結構その空間の雰囲気を作るために音楽を聴く。だから、その場の雰囲気を作り出す、環境に溶け込むような音楽を作ってみようと思ったらしい。

そして、そのころのフランスの空港でのエピソードをひとつ。

午前中のとても気持ちのよい日で、空港には太陽の光がさしこむ。それは、とても詩的な光景だった。

しかし、そのとき空港に流れていた音楽が最悪だった…あまりにもひどかった。彼の言葉を借りれば、「Stupid!」だった。
その音楽のせいで、その美しい光景が壊れてしまった。

どんなに空港の設備にお金をかけても、流す音楽にはちっとも気を使っていない。
そのとき彼は、音楽はその場の雰囲気を台無しにする可能性をはらんでると悟ったらしい。
そして、その後彼はその空港のために音楽を作り、提供した。彼は、「きっとみんな前より幸せになったと思うよ」って語ってた。

最近、日本では雰囲気重視のカフェがどんどん登場しているけど、どこも空間である「箱」とともに、そこで流す音楽にもかなりこだわりを持っているのではないかなって思う。いや、むしろ制限のある「箱」より、簡単に自分の好きな空間を作りだせる音楽の方に力を入れているのかもね。

ま、それだけ、音楽が空間に与える影響力が強いってこと。

だって、絵画だったら、その前に立つなり座るなりして作品を見るけど、そこから移動して作品が視界に入らなくなったら、その人への影響力ってなくなってしまう。
でも、音は空間に充満して、人を包み込むから、その人が移動しても、他の事をしていても、その空間の中にいる限り、その人への影響力は持続する。

そんな「音」のもつ力に注目して、今まで部屋でバック・ミュージックとしてCDを聴くことくらいしか音楽に接してこなかった自分が、イギリスに来て、現代音楽なるものを勉強していることに、最近不思議だなって思うと同時に、この先どうなっていくのだろうかって我ながら思います。

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