2006年6月26日月曜日

BASEL, BASEL, BASEL!

フランス vs. スイス戦にかじりつく人々
  • ス イス・バーゼルで開催されたアート・フェア、Art Baselに行ってきました。このArt Baselは5日間の間に世界中から作品を買い付けに来たコレクター、ギャラリスト、キュレーター、アート好きな人々などがぞくぞくやってくるアート界の 一大イベント。関係者や招待状を持っている人だけが入れる一般公開前の内覧会は、さすがにセレブな雰囲気をもった人たちがわんさかいて、作品とはまた違っ たところで見ものでした。しかし、そんなセレブな人たちも隣国対決となったサッカーW杯のフランス vs. スイス戦にかじりついてました。

  • Art Basel のおもしろいところは、ロンドンのフリーズやニューヨークのアーモリーショーといった他のアート・フェアで見られるようなギャラリーのブースが並ぶ展示会 場の他に、大型作品だけを展示した「Unlimited」という展示スペースがあること。この展示は見ごたえがあり、作品を買い付けに来たわけじゃない一 般客も楽しめるものだった。

    ここで印象的だったのは、ホセ・アントニオ・オルツ(José Antonio Orts)とア リシア・ フラミス(Alicia Framis)の作品。二人ともスペイン出身の作家。オルツの作り出した空間には何もない。ただ白い壁があるのみ。まさにホワイト・キューブそのものと いったところだ。しかし、耳には工事現場の作業音が聞こえてくる。でも、どこを見てもスピーカーはない。おそらく壁の中にスピーカーが隠れているのだろう が、それが巧妙に隠されていた。空間に音だけを流すサウンド・インスタレーションは決して珍しいものではないが、その際スピーカーが設置され、それがある 種オブジェとして空間の中でその存在感を示しているのに対し、オルツの作品はスピーカーが目に見えず、純粋に音だけが聞こえてきて、しかもその音が工事現 場の作業音というのが妙におかしかった。展示スペースがあるメッセ会場のその仮設性ゆえに、この作業音がリアルに聞こえてくる。ちなみにタイトルは、「工 事中(Under construction)」。

    ア リシア・ フラミスの映像作品《Secret Strike Tate Modern》(2006)は、Tate Modernで働く人々や訪れる人々を撮ったもの。しかし、カメラに捉えられた人々の動きは皆止まってる。カメラだけが人々の前を通過していく。タイトル が示しているように、皆ちょっとしたストライキを起こしてます。しかし、動きを止めてる人たちも決して完全に止まってるわけじゃなく、たまにぴくぴく動い たりしていて、そこがまたおかしい。一見、人々の動きを切り取る写真のような効果を示しつつ、しかし、それは映像の中で展開される「動かないパフォーマン ス」である。その点が非常におもしろかった。

  • バーゼルで偶然にもロンドン・アート情報サイト「fogless」の主宰者の方に会いました。普段お世話になってるサイトの主宰者と直接お会いできてうれしかった。彼女のサイトにも、バーゼルレポートがアップされてます。

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